地域PM遠征を支える技術 〜関東関西移動編〜

というわけでHachioji.pm Advent Calendarの2日目です. 今日の担当はpapixです.

昨日は関東圏の格安宿泊施設情報をまとめてみましたが, 今日は関東と関西を移動する格安移動手段についてご紹介したいと思います.
関西の方が就活等で関東へ行く場合, あるいは逆に, 関東の方がKyoto.pmやKansai.pmといった関西地方の勉強会に格安で行きたい...! と思った時にご活用下さい.

バス

まず第一の候補は, ｢格安移動手段の王｣とも言える高速バス.
多少疲労が貯まりますが(最近無茶ができなくなったので, 結構疲れが残る事が多いです...), 高速夜行バスを利用すれば｢寝ている時間｣に移動できるので, それなりに時間を有効活用することができます.
高速昼行バスは高速夜行バスに比べ便数が少ない上, 値段も若干高いですが, 日中に移動する方がスケジュール的に都合がいい場合は考慮に入れると良いでしょう.

さて, 関西と関東を結ぶ高速バスは多くの会社が運転していますが, 基本的にはJRバスを利用しておけばいいのでは? と思っています.
JRの高速バスは, ｢高速バスネット｣から予約することができます.

JRバスの魅力は, 何といってもバスの便数. 加えて, コストパフォーマンスの良さも見逃せません.
バスの出発時間は21時代から23時代まで, 到着時間では6時代から8時代まで, スケジュールに合わせてバスを選ぶことができます.

また, 座席数制限がありますが, 5日前までに予約をすれば料金が割引になる｢早売5｣制度が準備されている点も魅力です.
この制度を利用すれば, 4列シートなら3500円(閑散期)〜4000円(繁忙期), 3列シートならプランにもよりますが, 6000円(閑散期)〜8000円(繁忙期)で乗車することができます.
加えて, 乗車回数による割引も実施していて, プランや乗車時期にかかわらず, 関西と関東を結ぶバスに1回乗車するごとに50円, 最大で500円(10回乗車した場合)の割引が適用されます.

次点は, かつて高速ツアーバスの雄だったWiller Express.
現在は, 関越道の事故をきっかけに制定された, 新しい高速乗合バスの運行制度に則って運行しているようです.
料金はJRバスとほぼ同額か, やや高い程度ですが, シートの綺麗さには定評があります.
...というか, 後述しますが, JRバスのシートが若干酷い, という感じです.

ウィラーを利用する場合の注意点は, 大阪梅田のバス停が大阪駅から微妙に遠い, という点.
JRバスは大阪駅にあるバスターミナルから出発します(JR大阪駅の改札から5分, 阪急や阪神, 地下鉄の改札からなら10分もあれば確実に到着します)が, ウィラーは梅田スカイビルにある｢ウィラーバスターミナル大阪梅田｣もしくは｢プラザモータープール｣から出発します.
どちらも大阪駅から10分〜15分程度歩く必要があるので, 大阪駅到着時間によってはバスの出発時間に間に合わない, という事もあり得ます.

あとは｢ウィラーバスターミナル大阪梅田｣と｢プラザモータープール｣を間違えるという罠もあります.
これらの2施設と大阪駅は三角形のような配置になっているので, 交互に移動するのも10分〜20分くらいは必要になります.
先日それでバスを乗り損ねてしまい, ひとまず梅田のネカフェで一泊して, 翌朝新幹線で東京に移動するという失態を繰り広げてしまいました.
高速バスに乗る際は, バスの出発時間と乗車するバス停の場所, そしてバス停までの移動手段とルートはしっかり確認しておきましょう!

バスの座席

バスのシートは, 大まかに分けると｢4列｣と｢3列｣に別けられます.
ウィラーはコクーンと呼ばれる2列シートのバスを運転していますが, 片道1万円近くするので乗ったことがありません.

若い間は4列シートでも耐えられます(耐えられました)が, それなりの歳になると4列シートの環境は耐えられなくなります.
4列シートは前後左右のスペースが狭い上, 隣の人の影響をモロに受ける(意識せざるを得ない)ので, ハズレを引くと非常に辛いです.
...特にJRバスの4列シートは｢家畜運搬車｣です. JRの高速バスの場合, 夜行バスは基本的に全てダブルデッカー(2階建てバス)で運転している為, 前後左右だけでなく, 上下も狭い! という圧迫空間で寝ることになります.
座席もそれほど倒れませんし, 前日徹夜して疲れを貯めておくという禁じ手を使わない限り, 快眠は難しいです(まあ, 前日徹夜して疲れを貯めてからの睡眠が快眠になるのか? というのはいろいろ意見がありそうですが).

...ただ, 平日出発･平日到着の閑散期の場合, 隣の席が空いている可能性がかなり高くなるので, そうなれば隣を意識することなく, 格安でバスを利用することができます.
特に高速バスネットの場合, バスの座席を指定して予約することができるので, これを狙う事も難しくはありません.
問題としては, 何故か高速バスネットの座席指定システムが, インターネットエクスプローラーでしか動作しないという点です. 致命的じゃねーか!!!
UbuntuのChrome/Firefoxはもちろん, WindowsのChrome/Firefoxでも動きませんでした(座席を選択できない). つ, つら...

一方3列シートですが, バスによっては2列+1列のようになっているものがあります(JRの高速バスの場合, ドリーム号等の1階席はそうなっている場合があります)が, それでも4列シートよりは左右の間隔が広いので気持ちはかなり楽です.
｢3列独立シート｣の場合, ｢1列+1列+1列｣になることが保障されているので, より精神的には楽になります(前述のドリーム号でも, 2階席は1列+通路+1列+隙間+1列, という配置になっているようです).

JRバスの場合, 4列シート(4列)以外では｢3列｣, ｢S席｣, ｢P席｣を選ぶことができます.
3列は いわゆる｢左右にスペースがある4列シート座席｣程度ですが, S席になると座席をかなり倒すことができますし, 座席も左右に広い上, カーテンで隣と空間を区切ることができるのでかなり快適になります.
S席は, 2列シートでP席よりもいいらしいんですが, 流石に乗ったことがないのでわかりません...

まとめとしては, ｢ちょっと関西と関東を格安で移動してみたいなー｣と軽い気持ちで思い立ったような時は, 悪い事は言わないので値段を犠牲にして3列シートを予約しましょう.
｢どうしても関西と関東を移動する必要があるのに所持金が少なすぎる! ヤバイ!｣というように, ｢節約｣の覚悟ができているのであれば, 4列シートでも大丈夫と思います.

高速バスのルート

関西と関東を結ぶ高速バスのルートは, 大きく分けると新名神･東名高速を経由するルートと, 名神･中央道を経由するルートがあります.
JRバスの場合, 中央道を経由するバスは便名に｢中央｣が入るので区別することができます(例: 青春中央エコドリーム号).
所要時間は中央道経由の方が若干長い(東京駅･大阪駅間の場合, 新名神･東名ルートが約7〜8時間, 中央道経由ルートが約8〜9時間, 但し京都駅を経由する場合は更に伸びる)ですが, 南武線･中央線を経由して八王子に移動しやすい南武線JR谷保駅に止まるので, 関西からHachioji.pmに行く場合は中央道経由の方が都合がいい場合もあります.

より八王子に近い｢中央道八王子バス停｣にも停車しますが, 西八王子駅から徒歩数十分の距離にありますので, あまりオススメはしません.

鉄道

お次は鉄道. まずは王道の新幹線ですね.
のぞみ号を利用すれば約2時間半で関西と関東を移動することができます.
料金は片道約13000円ですが, 学割を利用するか, 金券ショップで回数券を買えば片道約12000円程度にまで抑えることができます.
だいたい, 夜行バスの2〜3倍と思えば良さそうです.

新幹線の場合, ｢ぷらっとこだま｣を利用すれば, 新大阪から品川･東京まで1万円ポッキリまで抑えることができます.
...が, 乗車できるのがこだま号に制限される(約3時間半)上, 前日までに予約する必要がありますので使い所は難しい(ぷらっとこだまに乗るくらいなら, 2000円〜3000円を自己負担してのぞみに乗るか, 夜行バスでの移動を選ぶ)です.

お次は新幹線を使わない鈍行ルート.
｢青春18きっぷ｣を利用すれば, 利用期間の制限はあるものの, コストパフォーマンスは最高です.
なんてったって, 青春18きっぷを使えば, 1日2300円で全てのJR路線の普通列車, 快速列車の普通車自由席に乗車することができるので, 関西と関東の間を2300円で移動できるんですから!

...ただ, 頻繁に乗り換える必要がありますし, 片道9時間〜10時間は必要になる為, 1日潰す事になってしまうので, 基本的に鈍行を利用するのは旅好き, もしくはマゾの所業と思ってよいです.
但し, 後述しますが青春18きっぷは途中下車も自由なので, 名古屋や浜松, 熱海あたりで途中下車して, 観光したり, 食事したり... というのもできますので, 人生に一度くらいはやってみてもいいのでは? と思ったりしています.
｢青春18きっぷ｣については, ｢地域PM遠征を支える技術｣でも頻繁に出てくると思うので, 12月4日あたりのHachioji.pm Advent Calendarで詳しく解説したいと思います.

前述の通り, 青春18きっぷを利用して関東から関西に行く場合, 9時間〜10時間は必要になります.
平日に東京駅を始発で出た場合のルートは8時間13分で, 次のようなルートになります.

東京 04:42 -> 04:52 品川 05:10 -> 06:21 小田原 06:22 -> 06:45 熱海 06:49 -> 09:19 浜松 09:23 -> 09:56 豊橋 10:03 -> 11:31 大垣 11:42 -> 12:17 米原 12:20 -> 13:43 大阪

一方, 大阪駅から東京駅へ移動する場合は9時間4分必要で, 次のようなルートになります.

大阪 05:00 -> 05:45 京都 05:49 -> 06:56 米原 07:07 -> 10:06 浜松 10:10 -> 11:21 静岡 11:53 -> 13:07 熱海 13:17 -> 15:05 東京

なお, ジョルダンでは, 青春18きっぷで乗車出来る列車のみを利用した乗換案内を検索できるので, 青春18きっぷで移動するプランを立てる場合は積極的に活用してみるとよいでしょう.

注意点としては, 豊橋〜熱海間は基本的に各駅停車しか運転されておらず, 車両数も時間帯にもよりますが3両〜4両と1編成が短いという点.
豊橋までは6〜8両, 熱海までは10〜15両に乗っている乗客が3〜4両の列車に集中することになるので, 青春18きっぷ真っ盛りの時期(例えばコミケ前後)になると, 豊橋から熱海まで立ちっぱなし, という事も十分あり得ます.

...それでもなお, 2300円というコストパフォーマンスは圧倒的(閑散期4列夜行バスよりも安い!)なので, ｢1円でもいいから節約したい!｣という場合は, 考慮に入れる余地があると思います.

最後に, 大阪から東京に行く場合のみ利用できるルートではあるのですが, ｢寝台特急｣を利用する... というルートがあります.
｢会社や大学から交通費が出るけど, 朝早くに東京に着かなければならない. 高速バスは遅延が怖いし, 新幹線は朝早く起きる必要があって寝坊すると怖いし...｣という場合にオススメです.

東京と, 出雲市駅･高松駅を結ぶ寝台特急｢サンライズ瀬戸･出雲｣という寝台特急があるのですが, この特急は東京行きに限り大阪駅にも停車します(出雲市･高松駅行きは, 関西圏最初の停車駅が姫路駅になります).
この列車が横浜駅に到着する時間は6時44分, 東京駅に到着する時間は7時8分なので, 新幹線の始発に乗るよりも2時間ほど早く東京に到着することができます.

通常, 寝台特急は乗車券, 特急券の他に寝台券が必要になる為コストパフォーマンスは悪いのですが, この列車に限っては｢ノビノビ座席｣と呼ばれるシートが2両用意されており, このシートに限っては乗車券と特急券のみ(約12000円, 学割適用で約11000円)で利用することができます.
バスに比べると振動, 騒音も少なく(ノビノビ座席のある車両はモーターなどが搭載されている電動車で, 比較的煩いはずなのですが, それでもバスよりはマシのように感じました), 鉄道なのでダイヤも比較的安定しているのでオススメです.
以前, YAPC::Asia 2012に参加する際に利用した時は, 大阪駅を30分遅れで出発したにも関わらず, 東京駅には定時で到着していました.

飛行機

関西と関東を移動するのであれば, 飛行機の利用はあまりおすすめしません.
飛行機のみの移動時間を見れば新幹線よりも早いですが, 羽田空港がある関東側はともかく, 関西側は伊丹空港, 関西国際空港と都心部から離れた空港ばかりなので, 空港まで移動する時間とコストが必要になります.
空港から都心部までの移動コストを考えると, 料金面も新幹線と遜色ないレベルになるので, 駅を降りればすぐJRで目的地に移動できる新幹線の方が使い勝手はいいと思います.

まとめ

関西と関東を移動する際の移動手段について, 簡単ではありますがまとめてみました.
移動手段は時間, 料金, スケジュールを考えて, 最適なものを選ぶのが大事なので, その助けになれば嬉しいです.

明日は... 明日もpapixの担当日となっておりますので, 謹んで記事を書かせて頂きます.
明日のテーマですが, 12月28日にHokkaido.pm #28が開催されるので, 関東と北海道の格安移動手段について紹介したいと思います.
王道というか, 普通は十中八九飛行機を使うと思うのですが, それ以外にも面白いルートがあるんだよ! と感じて頂けるようにかんばります.